レッド・バイオリン

職人のおっちゃんが怨念、いや負の情念を込めて創った一本のバイオリン。
そのバイオリンは数世紀にわたり人から人へと渡り歩く。
そしてそのバイオリンを手にした人達の数奇な運命とは。

と、サスペンスタッチのオカルト映画かと思いきや芸術作品と言っていいほどの格調高い作品だった。
そして、ちょっと冗長ぎみでしたん。退屈と言うほどでもなかったけど。

受け継がれていくバイオリンに纏わるエピソードをオムニバス形式で綴っていく過程は、その年月や渡り歩く国々のスケールに比べて、壮大さに欠ける気がした。

時代の移り変わりや、係わっていく人間の情念・・をバイオリンは常に見ていたのだよ。
な〜〜んて、楽器は生き物のようにミステリアスなのですなあ、という期待した世界観がなかった。
でも中国の文革のエピソードは良かった。本当の自由を奪われるという意味を考えたですよ。


それにしても永い時間を生き抜いた物は、たとえ物言わぬとも命が宿っているようで怖い。
楽器、家具、人形・・・。


昔、わが家にあった夫婦土人形。
ちゃんと正面に向けて置いたはずなのに、気がつくと嫁さん人形が旦那の方を向いている。
何度直しても旦那の方を向く。

「すわっ。こりは祟りじゃ。この夫婦は添い遂げられなかったじゃあ。」と恐怖のあまり走り回ったものだけど、当時の我が家は電車の線路沿いにあって、電車が通るたびに家が揺れていたのであった。